イシノアヤ先生『トリガー』のネタバレ感想です。
BL漫画からは、日々たくさんの萌えと癒しを貰っていますが、人生に行き詰まった時に励まされたり、自分の生き方を見つめ直すきっかけをもらったりもしています。
この作品も私にとってはそんな中の一つです。
『トリガー』あらすじ
三井はエリートとして、これまでの人生ずっと努力してきた、常に正しい選択肢を選んできたはずだった。
でも妻も娘もいなくなり一人になって、自分の人生は失敗だったのか?自問自答するようになります。
そんな時、マンションの隣に引っ越してきた曽根。
彼との再会をきっかけに、今まで目を背けてきた自分の中の本当の欲求とも向き合うことになります。
『トリガー』ネタバレ感想
三井は公私共に荒れまくって、曽根に当たり散らすんですけど、曽根に対する三井の言動がほんとクズ!!で最低な男です。
(読み返してビックリした。笑)
「本当は男が好き」だなんて自分は公言できなかった、自分にはできなかった生き方をしている曽根。
ノンケ相手に報われない片想いをして、自分にいいようにされている曽根を見て、痛めつけて、曽根の生き方を必死に否定したがっているように思えます。
それでもついに職も失って、残ったのは娘の養育義務とローンのみ(辛過ぎる)。
正真正銘空っぽになって、自暴自棄になっても、曽根は一緒にいてくれました。
曽根の包容力がすごい。
ただやられているわけではなくて、三井の人生まるごと受け入れているような。
三井の過去話もあって、ゲイを自覚したきっかけが描かれています。
真面目でウブだった、若かりし頃の三井が可愛い…。そしてとんでもない男が。
曽根と三井は一緒に暮らすようになりましたが、そんなにすぐ事態が好転するわけはないんですよね。
仕事はなかなか見つからず、借金してまで娘の習い事代を工面しようとしたり。
現実は厳しい。
でも曽根はいつだって、ありのままの自分や現実を受け入れられる人なんですね。
柔軟性があって強い人です。
曽根がいるから三井はもう大丈夫そうです。
そして最後の最後に三井にとっての転換期が訪れます。
曽根から三井へ掛けた言葉が心に響きました。
* * *
三井は自分の担うべき役割を常に意識して、"こうあるべき"にとらわれているから、本当の自分を表現することもできないし、ありのままの自分を受け入れるという事がとても難しいんですよね。
それまで築き上げてきたものを全て失い、一度ゼロになって、そうしてようやく本当の自分と向き合い、新しい人生を歩み始める事ができました。
人生は、たとえ何もかも失っても、何歳からでも、やり直せるのかもしれない。
そんな勇気を私はこの作品からもらいましたし、
自分自身がありのままの自分を受け入れ、認めてあげることが大事だと改めて感じました。
BL作品として見ると、攻めがクズだったり、暴力描写があったり、その他諸々地雷要素が見られますが、それを超えて私には得られたものがありました。